ロト・エクササイズは、3つに分類されます。

第一には、ロト・ストレッチ(ROTO Stretch)です。静的ストレッチと動的ストレッチの2種がありますが、ロト鍼療法の後に回旋運動連鎖の促通と同時に動きの再学習をさせる目的で行います。

第二には、ロト・マニュアルテクニック(ROTO Manual Technique)であります。これは理学療法士などの医療従事者によって用いられる徒手抵抗運動療法のテクニックとして開発されたものです。円皮鍼を貼付したままで行う運動鍼法として実施する場合と、単独で用いられる場合があります(図24)。いずれも回旋運動連鎖を促通させる技法です。

第三は、ロト・ストレングス(ROTO Strength)で、回旋にエキセントリックな筋収縮の要素を重視したロトならではの筋力トレーニングであります。ロト・ストレッチにより動きが改善した後に行うようにします。

図24:ROTO Exercise
図24:ROTO Exercise

ロト・ストレッチ( ROTO Stretch)

回旋運動連鎖を促通させるためのストレッチで、静的なストレッチと動的なストレッチ法があります。回旋によって横、縦、対角の3つの運動連鎖機能線を整えながら全身の動きを改善させ、動きやすさを獲得する目的で行います。

対象者:一般向け
目的:全身での滑らかな動きを獲得し、健康増進につなげる。
①ロト鍼療法による治療効果の維持
②正常な運動連鎖の再学習
③回旋運動連鎖障害の再発予防
④不良姿勢の矯正

日常的に自分一人で行うことのできるストレッチ法です。
その目的は、「動きの促通」にあります。どんな質の良いトレーニングを行おうとしても、体に歪みがあったりすれば、正しいフォームでの運動が出来ないばかりか、間違った動作を学習することになってしまいます。それを未然に防ぐ為、偏った癖や誤った動きのインプットをリセットするために、正しい全身の回旋運動連鎖の回復と再学習を目的とします。回旋運動連鎖のルートの動きに合わせて体を捻じりながら、本来の滑らかな動きを取り戻せるように実施していくのが、ロト・ストレッチであります。
爪先から手の先まで、意識を変えていきながら、全身の捻じりを行っていくのですが、
不得手な動きをこのストレッチによって克服できた後には、大変体が軽く動きやすくなることを実感できます。普段から実施することにより、不良姿勢の予防のみならず、内臓の働きは勿論のこと、内分泌系にも良い影響を与え、健康な体にリセットしてくれます。
これまでには無かった、理に叶った捻じりのストレッチであります。

対角軸の機能を整える前面のストレッチ左右の2種

図25:PRONO静的ストレッチ①
図25:PRONO静的ストレッチ①
図26:PRONO静的ストレッチ②
図26:PRONO静的ストレッチ②

横軸の機能を整えるストレッチ前面と背面の2種

図27:SUPINO静的ストレッチ①
図27:SUPINO静的ストレッチ①
図28:SUPINO静的ストレッチ②
図28:SUPINO静的ストレッチ②

横対角軸の機能を整える前面のストレッチの左右切り換え運動

図29:座位PRONO静的ストレッチ
図29:座位PRONO静的ストレッチ①
図30:座位SUPINO静的ストレッチ
図30:座位SUPINO静的ストレッチ②

対角軸の機能を整える後面のストレッチ左右の2種

図31:立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ①左
図31:立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ①
立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ②
立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ②

対角軸の機能を整える後面のストレッチの左右切り換え運動

図32:立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ 左
図32:立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ①
図32:立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ②右
図32:立位SUPINO&PRONO動的ストレッチ②

対角軸の機能を整える前面と後面のストレッチの切り換え運動

図33:立位SUPINOストレングス / ダンベル
図33:立位SUPINOストレングス / ダンベル

ロト・マニュアルテクニック
R.M.T( ROTO Manual Technique)

通常、円皮鍼を貼付したままで行う徒手抵抗運動法をロト鍼療法の運動鍼法としていますが、円皮鍼は貼付せずに徒手抵抗運動単独で行う場合があります、その場合には、特にロト・マニュアルテクニック(=R.M.T:ROTO Manual Technique)と称します。
基本的に回旋運動を柱にしながらも、筋の収縮様式であるConcentric収縮とEccentric収縮を使い分けた徒手抵抗運動により、筋の弛緩のみならず、筋の出力の回復もコントロールしていく手技療法です。
その中でも、Eccentric収縮を引き起こす運動法については、特に力を入れて研究を重ねております。

図34:前腕に対するR.M.T例
図34:前腕に対するR.M.T例
図37:足関節に対するR.M.T例
図37:足関節に対するR.M.T例
図35:手関節に対するR.M.T例
図35:手関節に対するR.M.T例
図38:肩に対するR.M.T例
図38:肩に対するR.M.T例
図36:股関節に対するR.M.T例
図36:股関節に対するR.M.T例

【エキセントリック・エクササイズを主として行う理由】

コンセントリック(短縮性)エクササイズとの比較において、エキセントリック(伸張性)エクササイズの方が、生理機能面上、以下のいずれの項目においても高い優位性を示すという科学的論文の報告があります。よってエキセントリックな要素をロト・エクササイズにも積極的に取り入れて開発しました。

  • 代謝が少なくて済む
  • 筋の調整力がつく
  • 骨密度が上がる
  • 血中脂質プロファイルの低下
  • 筋の働きが向上する
  • バランス能力が高まる
  • インシュリン感受性が高まる
  • 心血管機能の向上
  • 筋肉量が増加する
  • 柔軟性が向上する
  • 脳の健康状態の向上

※データー提供 野坂和則教授/エディスコーワン大学
※現在、各部位ごとのR.M.Tについては、開発中であります。

ロト・エクササイズ 指導・協力

スーパーバイザー: 西豪州エディスコーワン大学運動スポーツ科学研究センター長 野坂和則 教授